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さて、ニューヨークは全米で最もホットドッグを食べる街の座を、常にロサンゼルスと競っているが、それには理由がある。
まず、ホットドッグは19世紀、ニューヨークに来たドイツ移民の手によって誕生したのだが、それは移民たちがランチタイムもそこそこに、時間を惜しんで働いていたことが関係するようだ。彼らは、火を通した状態で売られていたソーセージをさっと茹でるかグリルして、バン(細長いパン)でつまみあげて、そのまま口に入れたのだった。お皿も要らず、片手で食べられる。そう!このお手軽感は、今もニューヨークという街のスタイルにフィットしている。街の至る所にホットドッグ・ベンダーがあり、お昼を食べ損なったビジネスマンがブリーフケースを片手にパクっとやっている。皿にのせる時間も場所もないから、食べながら歩く。ニューヨークのスピード感そのものの、究極のファーストフード(fast food)なのだ。
そもそも「ソーセージ」を「ドッグ」と呼ぶようになったのは、19世紀の初め頃のドイツである。当時、フランクフルトのお肉屋さんが「ダックスフント」または「リトルドッグ」という名前のソーセージを発売したのがルーツと言われている。細長い形状がダックスフントに似ている、という訳だ。「ホットドッグ」という言葉が使われ出したのもこの頃だ。「熱いソーセージ」という意味だから、厳密に言うとパンに挟んでいなくてもホットドッグである。
実はニューヨーク以外にも、アメリカにはホットドッグ発祥の地がある。ニューヨークから少し遅れて1890年、ミズーリ州セントルイスのドイツ移民が、まったく別のきっかけでホットドッグをパンに挟んだ。アントワン・フォイヒトハンガーは、屋台で熱いソーセージ(ドッグ)を売る際に客に白い手袋を貸していた。熱いソーセージで手をやけどしないようにという気遣いである。しかし、多くの客がその手袋を返さず持ち帰ってしまうため、手袋代でビジネスは赤字になってしまった。そこでミセス・フォイヒトハンガーがパンに挟んで売ることを提案。義理の兄弟がパン屋さんだったため、ソーセージのサイズに合う細長いパンを製造してもらうことができ、これを「レッドホット red hot」というネーミングで売り出した。